年賀状、古民家のなぞ、テープのり、カレンダー

By: 日下潤一

15-01-2016

年賀状、古民家のなぞ、テープのり、カレンダー

今年の年賀状も、去年につづいて伊野孝行さんに絵を描いてもらった。ハンモックで本を読んでいて居眠りしてしまったサルと、スマホに夢中になっているサルたち。

地下鉄の車内の中吊り広告。「Metro Walker」という東京メトロ発行の冊子。季刊で本文は24頁、無料で駅のラックに置いてあるらしいが、早稲田と高田馬場にはなかった。この広告の写真、よく見ると子規庵である。一部が切り込まれた子規の机だ。ガラス戸があけてあり、ヘチマと鶏頭が見える。机に花瓶、本が開かれている。左にあるのは何だろうか。「東京に息づく古都の暮し」で〈文化人ゆかりの古民家〉とある。子規庵が古民家？　本文では〈日本の伝統的な建築様式や文化、そこで暮らした人のぬくもりを色濃く残す古民家。〉とリード冒頭に書いてある。この3頁では「子規庵」「朝倉彫塑館」「林芙美子の家」、一葉ゆかりの「旧伊勢屋質店」がとりあげられている。これらを都内にある古民家とするのは違和感がある。
子規庵は、もとは前田侯の御家人の二軒長屋だそうな。その片方に子規が母と妹の三人で移り住んだ。老朽化と大震災による傷みで昭和元年に解体修理、昭和2年に土蔵を建設。昭和20年に空襲ですべて消失。昭和25年に再建されたもの。机はもちろんレプリカ。
芙美子の家は、彼女の注文をいれた建築家山口文象設計の家。下落合にあり、今は記念館になっている。この家と向いの屋敷だけが、幸いにも空襲から焼け残ったと、以前に訪ねたときに職員の方が説明してくれた。夫の画家手塚緑敏のアトリエも作られている。広い庭のある大きな家。芙美子の家も朝倉文夫の旧宅も民家などではないだろう。どの建築もそれぞれに違う意味あいがある。それをノスタルジーでひとつにまとめてしまっているのだ。

スティック糊がなくなったので、コンビニで小さな「テープのり」を見つけた。小さいのですぐに使いつくしたので調べたら、これはコンビニ用だけで売っているみたい。ネットで詰め替えタイプの大きなのがある。不思議な形のデザイン。機能中心にするとこんな形になるのか。小さいのはかわいいんだけど。便利で重宝している。デザインをもうすこしなんとかできないかな。チューブやスティック式の糊は時間がたつと硬くなったり、ぬりにくかったりする。このテープ式はそういうことがない。従来のパッケージの欠点を補うために考えたのだろう。修正液のテープ形式のものがある。あれのヴァリエーションの発想だな。

大＝左右91mm×天地47mm×幅18mm
小＝左右58mm×天地26mm×幅14mm

みなさんからいただいた2016年のカレンダー。藤枝さんと大橋さん、安座上さん、タムラさん、新潮社、特種製紙、ヤクルトさんからは毎年いただいている。DNPのは知り合いからまわってくる。ウルフカレンダーは去年から日本オオカミ協会にもらっている。どれも仕事場で使っている。色んな場所にかけてある。意外に便利。打ち合わせのテーブルには、この4年ほどTASCHENのゴッホの日めくりを置いている。今年は手に入らない。もう作っていないのかもしれない。しらべてもカタログにのっていない。図版の契約切れかな。どうしよう。
今年は、あらたにイラストレーターの佐々木一澄君とみずうちさとみさんからもカレンダーが送られてきた。

自宅はダイニングテーブルには、毎年“page・a・day gallery calendarのDOG”（日めくり式）。オオカミのCalenderはずっと使っている。ドッグフードの会社が送ってくれていた。犬たちがいなくなったので、去年はベルリンの本屋さんでべつのものを見つけた。それで同じものを今年も探した。
野生のオオカミはとても慎重で敏感、人間には近づかない。このカレンダーやINTERNATIONAL WOLF CENTERの写真を撮るのは非常に難しい。どうやっているのだろうか。

藤枝リュウジさん　1枚のサイズ＝天地257mm×左右364mm