金森幸介、棺桶、モンドリアンとジャコメッティ、あて字、タイポグラフィ的
〈金森幸介50周年記念日〉
金森幸介君の3月1日の、デビュー50周年記念日のライブのチラシ。デビューからの歌を時代順に歌うらしい。歌詞集『心のはなし』と同じ森英二郎さんと私のコンビ。森さんの絵は、木版画ではなく版木に彫り込んだものに彩色している。原画のサイズは小さい。表(名前が彫ってあるもの)は、天地12.5センチ、左右10.5センチ。裏(全面)天地12.5センチ、左右8.8センチ。いつもの木版画とは違う味わいが面白い。
〈モンドリアンとジャコメッティ〉
来年のRED STONE DIARY 2020(以前にもこのブログで紹介した、毎年使っている卓上ダイアリーノート。毎年テーマにそって、一週間ごとに選ばれた絵や写真が載っている。2008年頃から愛用)を見てたら、モンドリアンのポートレートがあった。
これがモンドリアン? 彼のモダンな絵から想像できない、19世紀のひとみたいな古臭いヒゲの顔。たしかに彼は1872年生れだからまちがいじゃない。でも意外。ジャコメッティもあった。朝の情景か、カフェオレを持ってるみたい。のどに布を巻いている。腕がしっかりしている。彫刻家だから。どちらも撮影者不明だが、いい写真。
〈ブログ〉
8月以来のブログの更新。69回目。毎週火曜日にブログを更新する、イラストレーターの伊野孝行君からきたメールに「日下さん最近ブログさぼってますね。」と書かれていた。今年最後です。
〈かんおけ〉
テレビのコマーシャルが「棺桶」と連呼していた。なんのことかと驚いて、よく聴くと「がん保険」。がんほけん、かんおけ。
がん保険棺桶と聞く年の暮れ
〈あて字〉
図書館の新着で見つけた本。あて字に惹かれて借りる。今年になってから、本がふえないように図書館に通っている。書店では見かけない本に出会えるのが面白い。平仮名の市や町の名の謎。
〈「海士」は、平成、平成二十二年十一月に告示された「常用漢字表」から「海女」に加えて新しく採用された表記である。これで島根県の海士町は安泰になった。愛知県にあった海部郡は平成の大合併で平成二十二年三月から「あま市」という平仮名表記になった。「海部市」とすることを「常用漢字表」を重視する総務省は認めない。平仮名の市や町の多くはそれが原因である。「あま」は、上代から見られ、魚介類を取るなど漁労に携わっている人たちのことである。(略)『和名類聚抄』には「海部」という郡名が各地に記載されている。先の「あま市」のもとである「海部郡(あまぐん)」も尾張国も海部[阿末(あま)]とある。他に紀伊国、隠岐国、豊後国にもある。「海部」は「海人部」とも書かれ、海産物を大和政権に献上していた集団である。郡名ほどではないが、全国に海部という地名が多くある。これは、応神天皇五年八月に、山部などとともに諸国に定めたことによる。「海部」を「かいふ」と読むのはこの表記の音読である。〉
(『あて字の素姓 常用漢字表「付表」の辞典』田嶋優著/風媒社刊/四六判/並製)
〈タイポグラフィ的なもの〉
松本市の上土劇場(8月24日の「松本タイポグラフィ研究会」第五回 平野甲賀さんの会場)の入口のサイン。
早稲田。見慣れたものでもこんなにダイナミック。
鶴巻幼稚園。誰のアイデアだろう。手で書くのが嬉しい。
地下鉄の駅で。Wがあがっていて、Mがさがる。視覚調整していない。意図的なのか。最後のTとEの字間があやしい。見てると不安になってくる。
あのさー、No.のピリオドは省略の意味のはず、その記号をこんなにはずしていいの。馬鹿げて見える。メトロのドア。
千代田線、国会議事堂前駅のサイン。暗いのでちょっと見にくいけど、上のデザインとはまったくあわないからとってつけてようで気持ち悪い。もっとまじめにやってくれないかな。英語もあやしそう。せっかくだから、Bldg.と省略しないでもいいのに。縮めると安っぽい感じ(ほら、省略のピリオドがついてるでしょ)。
人形町の芳味亭の行灯。もとは手書きだよね。去年の暮れに、ビルになったときに古い店の文字をそのまま使ってる。
荻窪の葬儀屋さんの行灯。シンプル。
京都嵐山。はげてきたので何度もなぞったのかな。
京都丸太町通りの美術道具屋さん。
電信柱の字。何が書いてあるんだろう。
日本橋久松町のビル。レタリングしてる。派手じゃないけどしっかりした感じ。
日本橋富沢町のカフェグレース。
文。ひび割れがよい。
ここからはスナップ。まず、うちの奥さんが見つけたスヌーピーの雲。
京都御苑の見事な銀杏。
八丁堀、元京華小学校のそばの銀杏
今年のラストの一曲はこれです。みんな負けるなよ。
Little Ghetto Boy/Donny Hathaway