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〈犬の文鎮〉
これは文鎮? 本を開いて読むのに重宝している。そこのラベルにGENSE NOBEL。ノーベル賞晩餐会に使われているスウェーデン王室御用達のカトラリーメーカーの犬。ナイフのせ。これも京都のUmwelt。本は『永田耕衣全句集 非仏』(1973)

 

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〈今日の犬〉
このワンちゃん、夷川通をブラブラしていて会った。はじめてUmweltに行ったときのこと

 

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〈「シナリオ」〉
「シナリオ」、昭和21年創刊、日本シナリオ作家協会が発行する雑誌。2020年1月号からリニューアルデザインを手伝う。1月号の表紙は伊野孝行君の描く山中貞雄、2月号は南伸坊さんが『運び屋』のクリント・イーストウッド。3月号は長野の古い映画館。
ロゴのデザインは「ヨコカク」の岡澤慶秀さん。カタカナ4文字を、太さとプロポーションが違う書体で組合わせたいという私の希望に、5書体5ウエイトのセットを作ってくれた。これを毎号ちがう組み合わせで使っていく。岡澤さんの巧妙なデザインに、気がつく人は多くないと思う。変えても同じ雰囲気になるのが面白い。欧文書体、表紙のデザインや絵や写真も毎号ちがえる。本文のイラストレーションは、一冊まるごと伊野孝行君である。

 

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〈選挙のポスタ―〉

 

いつものことだけど、選挙のポスターが情けない。いったいこの寒々しいポスターは何なのか。若い女の子とおじさんのタレントがこっち見ている。みっともないから、少しカットしておく。選挙のポスターの役目とは何か。そんなことは一切考えない選挙管理委員会の無能。やる気がない。候補者のポスターの掲示板の上に、投票日と期日前投票のこと、投票行動を積極的に促すキャッチを大きくいれたらいいのに。派手にやっても悪いことはない。選挙を盛り上げずに地味にやることが、嘘と偏見にまみれた政権与党の助けになる。国民みんながこぞって投票に行くことが、選挙管理委員会の最も大切な使命ではないのか。

 

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〈トミ・ウンゲラーの玩具〉

 

仕事場の本を片付けていたら、今年の2月9日に87歳で亡くなった、トミ・ウンゲラーが生れ故郷のストラスブール市に寄贈した6000点のブリキの玩具(Jouets Mécanique Métalliquesとあるので動く仕掛けのあるメタル玩具)のカタログがでてきた。「芸術新潮」2009年8月号の「特集 トミ・ウンゲラーのおかしな世界」の取材をした編集者M君からおみやげにいただいた本だ。誌面でも一部紹介されている。2007年にストラスブール市にトミ・ウンゲラー美術館ができるまえから、この玩具コレクションは装飾美術館(Musée des Arts Décoratifs)で展示されている。

 

The Tomi Ungerer Museum – International illustration center(サイトからの写真)

 

The Tomi Ungerer Museum

 

Musée des Arts Décoratifs Strasbourg(サイトからの写真)

 

Musée des Arts Décoratifs

 

玩具について〈ウンゲラーがおもちゃのどこに惹かれるのかといえば、メカニズムだという。仕組みを観察し、理解することでインスピレーションが湧く。そのせいか、蒐集品の多くを、ゼンマイじかけや手作業で彩色されたブリキのおもちゃが占める。ぎくしゃくとしたその動き、ひとつひとつ異なる表情、そして時とともに古びてゆく姿が生き物のようで、想像力をかきたてられるという。(「芸術新潮」2009年8月号)〉

 

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(同号から)ウンゲラーが故郷のアルザスについて語っている。〈わたしはアルザス人です。(略)1931年11月28日にフランスのストラスブールにうまれたわたしは、しかし、自分のことを「フランス人」だとは思っていません。なによりもまず「アルザス人」であり、そして「ヨーロッパ人」、それがトミ・ウンゲラーなのです。

 

フランスとドイツの国境地帯に位置するせいで、アルザスの人間は長いあいだとても苦しんできました。アルザスはフランスのものだとフランス人はいうけれど、政治的帰属はともかく、この地方の文化基盤はどちらかというばドイツ的ですから、ドイツ人もまたアルザスの所有を主張するわけです。ふたつの国のあいだで戦争が起こるたび、いとも簡単に国籍を変えられてきたのがわたしたちアルザス人でした。〉

 

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「芸術新潮」のこの号は、77頁であるが見事な構成でウンゲラーについて日本語で知ることのできる貴重な読物になっている。

 

今日の一曲

What’s So Funny ‘Bout Peace‚ Love and Understanding/Nick Lowe

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〈顔真卿〉
メトロの顔真卿のポスター。あれれ、宋朝体で横組? しかも「顔真卿」、わが目を疑う。サブタイトルの仮名は擬古的な明朝体と宋朝体いっしょにしている。こんな仮名だって横にするのは無理じゃない? 宋朝体の仮名では変だったのか。その下の短いリードでは、似たような仮名に明朝体の漢字を合わせている(寄り引き悪し)。バラバラだね。

 

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〈さんだんじゅう〉
ラジオから、突然「散弾銃」という物騒な言葉が聞こえてきた。「散弾銃? サンダンジュウ?」。おせち料理のコマーシャルの「三段重」だった。

 

三段重

 

〈貼り紙〉
メトロのドアの貼り紙。漢字にルビ。まず上の漢字2字は中付き、下はグループルビ。〈注〉のルビが3字だけど文字が大きいのでルビは親字1字におさまる。いずれにしても字間をあけて組んでいるので、無理なく中付きで大丈夫。よく見ると字間のアキがバラついている。これくらいの字数なら、そろえるのにそんなに手間がかからないのに雑である。書体はMB101B、この仮名はクセがつよい。デジタルになってからはこの書体を使っていない。こんな注意書きに向いているだろうか。気難しいおっさんに言われているような気になる。

 

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〈伊野孝行君と一休さん〉
伊野孝行君が描いた、一休さんの絵の展示が、11月から12月にかけて京都の二つのお寺であった。大徳寺塔頭の真珠庵での襖絵の競作と、京田辺の一休寺での絵巻と掛け軸。どちらも、NHKの『オトナの一休さん』(2016年、全26話。1月からまた再放送があるみたい)がきっかけだそうだ。両方とも見に行ったけれど、作品は撮影できなかったので、お寺の周辺の写真と伊野君から借りた写真を見て下さい。大徳寺は二回行った。最初の10月14日は、大徳寺には塔頭が多いので、そっちを見物していたら真珠庵に行く時間がなくなり、11月8日に京都の友人をさそって再訪。一休寺は京都市内の中心部からは離れているので、あらためて11月30日に行く。これを逃すと、お寺以外で彼の絵を見られるのはいつになるかわからない。

 

大徳寺塔頭の特別公開。見事な庭を見ることができた

 

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真珠庵の伊野君たちの展示の看板

 

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真珠庵の由来である

 

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真珠庵のパンフレット

 

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伊野君の一休さんの御朱印帳。御朱印集めの趣味なんかないが、伊野君のためである

 

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一休寺「祖師と肖像」ポスター。伊野君の一休禅師とお寺が所蔵する重文の頂相が並んでいる

 

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一休寺の伊野君と作品

 

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一休寺の伊野君の色紙。本人に予約してもらって最後の一枚をゲットした。伊野さんありがとう

 

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一緒に売ってmoga(北野深雪さん)の大燈国師のストラップ

 

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一休寺の見事な紅葉はCMのまま

 

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一休寺のパンフレットは三つ折り。お寺を出るとき、受付でお礼をしたら係のおばさんから「ようお参りでした」と言葉をかけられた

 

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〈平松洋子さん〉
最近の私がデザインした本。長くなるので一回に一冊ずつ。

 

『そばですよ』平松洋子著/本の雑誌社/四六判並製
「本の雑誌」で連載中。毎月たのしみにしている読み物。いわゆる立食いそばだが(この本では立ちそば)、そば屋さんのガイドブックではない。味だけではなく、それぞれのそば屋さんのお店の雰囲気から店主や、なりたちが語られている。どの店も、平松さんの気持ちのこもった視線で書かれている。東京にある立ちそばのすぐれたルポルタージュだ。お店のなかでは、「峠そば」「ファミリー」「はせ川」「田舎そば かさい」で食べた。最初の2店は、本文のカラー口絵の撮影のときにいただいた。どちらも美味しい。「はせ川」は仕事場の至近距離で、「かさい」は地元の中野駅前なので、連載を読んでから、何度か食べた。この本を読むと紹介されている全ての店を訪ねたくなる。先日、「人形町ヴィジョンズ」での「風刺画なんて」展のついでに、編集長の浜本さんおすすめの「福そば」に寄った。ここもよい。カバーの絵は、庄野ナホコさん、口絵の写真はキッチンミノルさん。
平松洋子さんが自分の本について「週刊文春」(12月13日号)の連載「この味」で書いている。
〈夜も明けないうちから毎朝だしを引き、つゆを仕込み、天ぷらを揚げ、自分の味をお客に手渡す個人店の暖簾の奥をじっくり取材させていただいた。〉

 

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〈京都の写真〉
京都の地下鉄烏丸線今出川駅のおじさん。

 

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太い丸ゴシックと太い楷書の組み合わせ(下鴨神社にて)

 

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「こわれやすい」という名のパーマ屋さん。FRAGILEといえば、STINGの名曲。建物と書体の組み合わせが絶妙。角でスペルを割っているのもセンスいい。

 

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自動車屋さん。堂々とした文字

 

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いい丸ゴシックじゃないですか

 

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プラハのキュビズム建築を思い出す。この窓の多さとビルの形

 

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太い楷書。誰が書いたのかな。糊のきいた白い暖簾とのコンビネーションで美味しそう

 

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すりガラス。上のほうでグラデーションにして、最初の一字が抜きになっていない不思議なデザイン。

 

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一汁四菜、五百円定食。黄色い紙にオレンジのギンガムチェック

 

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歯医者さんの看板

 

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今日の一曲は、ベタだけど

Fragile/Sting

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ひさしぶりのブログです。

TBSラジオの荻上チキの「セッション22」で外国人技能実習生と外国人留学生の問題を月曜日と火曜日の二日続けてとりあげていた。送り出すアジアの国の側、受け入れる日本側、いずれも利権の構造になっている。実習生と留学生を食い物にしている組織がある。人身売買といってもいいくらいの実体が語られていた。radiko(ラジコ)のタイムフリーサービスで1週間以内なら無料で聴けるので、ぜひチェックしてほしい。

 

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二回目の風刺画展。風刺画嫌いの伊野孝行君の言葉からとったタイトル『風刺画なんて』。去年のメンバーにあらたに、いぬんこさん、吉岡里奈さん、竹内みかさんが加わった。一回目のみんなの作品もおもしろかったが、今年はより強い表現になっている。風刺画を見るには、普通の絵よりすこし時間がかかる。描かれていることを読みとる必要がある。キャプションにも工夫があるので無視出来ない。とはいえ、さすがの手練のメンバーなので、むずかしく考えなくても楽しませてくれる。

 

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『パディントン』と『パディントン2』が面白い。このところ、会う人ごとに薦めている。でも、この話の前にホン・サンス。ひさしぶりに映画館で見たのは『犬ヶ島』。その後、伊野孝行君がほめているから、下高井戸シネマでクリント・イーストウッドの『15時17分、パリ行き』。翌週から、同じ劇場でホン・サンスの特集を見た。
ごぶさたしていたホン・サンス。近作をまとめて4本。『夜の浜辺でひとり』『正しい日、間違えた日』『それから』『クレアのカメラ』2015年から2017年までの作品。予備知識がまったくない。加瀬亮が出た『自由が丘で』(2014年)を見逃してから、途切れている。うかつなものです。
どの作品もあいかわらずのホン・サンスだが、もっとシンプルになっている。これでも映画が成立するのかと思えるところがある。テレビ放映の『アントマン』の翌日にホン・サンスを見た。こんな時代にこんな作品。いつも通り「先輩」が出て来て「長いテーブルでみんなが酒を飲み」「乾杯」「飲んで議論して切れる」。ホン・サンスの映画ではみんな酔っぱらう。グリーンの瓶のチンロとマッコリとビール。韓国はお酒のバリエーションが少ないなー。あんな焼酎ばかりでよくあきないものだ。フィックスしたカメラで、長いシーンが多いが退屈はしない。動かない画面、動くとぎこちない、唐突に寄るカメラ、微妙にスピードを変えたりもする。
キム・ミニは、もほとんどすっぴんのようなメーク。酔う彼女、酔っぱらう相手の男優の演技が生々しい。『それから』の浮気相手と、一日で馘首になって奥さんから誤解されてひどい目にあうキム・ミニが似ている。これは偶然ではなく、意図的なキャスティングなのだろう。男が女に本を渡すのは、『夜の浜辺でひとり』と同じ趣向。
『クレアのカメラ』のラストシーン、キム・ミニがまとめた荷物を箱に詰める、巻き付けてとめるガムテープが途中でなくなり、別の色のテープを足す。これなんか撮影中のたまたまのことではないだろう。クレアの謎のような言葉と呼応している気がする。4本続けて見ると、ホン・サンスは自分が作った様式を組み替えて、楽しんでいるように思える。出てくる男はどうしようもない自意識過剰の映画監督。『正しい日、間違えた日』は、なんとひとつの作品の中で同じ設定で違う話が語られる。『夜の浜辺でひとり』が、彼女の夢の中なのかと思わせる仕掛けと共通する。他の3本と同じ、ここでも男は馬鹿で身勝手で間抜けだ。ぎりぎりまで自分のスタイルを削ぎ落としつつ、あくまで俗っぽさを失わずに愛を語るホン・サンス。そして、彼の映画のなかの若い女たちは生きることについて切実な問いかけをしていた。

 

それから

 

正しい日、間違えた日

 

夜の浜辺でひとり

 

クレアのカメラ

 

さて、『パディントン』と『パディントン2』。ホン・サンスを映画館で見てから、見逃した作品をDVDでひろっている。その中でもこの2本はビックリ。映画館の大きなスクリーンで、よく出来ているCGのパディントンのクマの毛並みを見たかった。『パディントン』では、カリプソバンドが登場する。これで嬉しくなる。彼らが『LONDON IS THE PLACE FOR ME』という1950年代のヒット曲を演奏する。
第二次世界大戦のあと、英領西インド諸島から移民が始まる。1948年から70年代初頭までつづく。大戦後のイギリスの労働力不足を補うために英政府が招いた。ジャマイカ、バルバドス、ガイアナ、トリニダードなど。そのなかのトリニダード・トバゴの音楽がカリプソ。5つのシリーズのコンピレーションCDがある。ジャケットの写真に魅かれる。
この傑作2本を見れば、大都市にいる移民のことが背景にあることに気がつく。原作では、最初にパディントンがブラウン夫妻と会ったときにこんなことを言っている。
〈「もといたところって?」と、奥さんは、たずねました。
すると、クマは、用心深くあたりを見まわしてから、こうこたえました。
「暗黒の地ペルーです。ほんとうはぼく、こんなところにいるのを見つかったらたいへんなんです。密航者なんですよ、ぼくは!」
「密航者?」
ブラウンさんは声を低くして、おそるおそる背後をうかがいました。何だかすぐうしろに警官がノートと鉛筆を持って立っていて、自分たちの話を一言ももらさず書きとっているのではないかという気がしたからです。
「そうなんです。」と、クマはこたえました。「つまり移民したんです。」〉(『くまのパディントン』マイケル・ボンド作/ペギー・フォートナム画/松岡享子訳/福音館/1967年刊/四六判上製

 

原作者のマイケル・ボンドが去年の6月27日に91歳で亡くなった。
〈英国の作家マイケル・ボンドさんが、そのクマに出会ったのは1956年のクリスマスイブのことだった。
家路を急ぐ彼の目に、売れ残って店先にぽつんと置かれたクマのぬいぐるみが、飛び込んできた。見捨てられがような姿に切なくなったボンドさんは、妻への贈り物として買い、自宅近くの駅にちなんでパディントンと名付けた。
このクマを見ているうち、ボンドさんの頭の中で物語が動き始めた。「クマがひとりぼっちで駅に現れたら、どんなことが起きるだろうか?」
そのときボンドさんの脳裏に、ある光景が浮かんだという。戦時中、空襲を逃れるために親元を離れ、スーツケース一つで迷子にならぬための札を首に下げ、列車で疎開した子どもたちの姿だ。
そうして生まれたのが、名作『くまのパディントン』。スーツケース一つもち、ひとりぼっちで未知の国にやってきて、「どうぞ このくまのめんどうをみてやってください。おたのみします」と書いた札を下げたクマ。〉(「筆洗」/東京新聞/2017年6月30日)

 

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今日の一曲はもちろんこれ
London Is The Place For Me/Lord Kitchener

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〈竹内みか〉

描き癖にまかせた、個人的なファンタジーや身の回りの小物の退屈な絵や、スタイルだけの浅薄な風景や人物のスケッチではなく、はっきりと自覚して自分が描きたいものに焦点を絞っている。それに合う表現手段と技術がある。彼女が描くのは遊園地にある「メロディペット」。さまざまな模索のあとにこのモチーフに出会った。大切なのは「どう描くか」ではなく「何を描くか」である。

去年、HBギャラリーの「ファイルコンペ」に応募したが、大賞をとったという連絡があるまで、そのことは全く忘れていた。神戸生まれの神戸育ち、阪神淡路大震災のときは小学一年生だった。

HBギャラリー「ファイルコンペ日下潤一賞/竹内みか個展『センチメンタルパーク』7月28日(金)から8月2日(水)まで

 

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〈K〉

『K』谷口ジロー:画/遠崎史朗:作/リイド社/1988年刊/part 1から4まで/A5判/並製

『K』谷口ジロー:画/遠崎史朗:作/双葉社/1993年刊/part 5が追加されている/A5判/並製

 

両方とも私のデザイン。リイド社のはジャケットだけ外回りのみ。双葉社の本では、目次、扉、奥付、ノンブルと柱をあらためて作っている。別丁扉(化粧扉)には、カラーでリイド社版のカバー絵を使用。カバーの絵は、新版のための谷口さんの描き下ろし。

 

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毎度、おなじみ「TIME」。2017年6月12日号。スローガンの「アメリカ ファースト」ならぬ「ファミリー ファースト」とは気が利いたタイトル。日本の安倍ならさしずめ「お友達 ファースト」か。彼はいつになったら国民に目がいくのか。みずからが国民の代弁者であり、委員会や国会で彼に質問をする野党議員もまた国民を代表していることが理解できているなら、安倍も菅も見え透いた愚かな言辞を弄することもあるまいに。

 

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〈詩/荒川洋治〉

 

「ユリイカ」4月号の、第22回中原中也賞の荒川洋治さんの選評。受賞作は『長崎まで』野崎有以(思潮社/2016年刊)

 

〈一つ一つの詩では何をしてもよい。もっといえば適当に書いてあってもいい。ゆるくても甘くてもいい。どのようにあってもいいのだ。最後に、ひとつ詩が残るかどうか。全体をつらぬく、一筋のものがあるか。それを基準に詩をみることが大切だ。(略)一見、たしかに生活作文のような流れではあるが、ところどころに、ここ、というところで、いいフレーズがあり、胸に迫る。さほど人生経験をもたない人にも芽生える強い郷愁、人間的であろうとする願いが、みごとに表現されている。

ことばの組織は、詩ではない。際立つような意匠も飛躍もない。だが、詩はどんなことばで書かれるかではない。詩で詩を書く必要はないのだ。一冊を読みおえたときに、詩があるかどうか。それで価値が決まる。『長崎まで』には、詩がある。一筋の詩を感じる。詩を書く人の才能を感じる。〉

 

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