令、TIME、シルバーパス、清き一票を(Vote For Me)

〈令〉

 

NHKのカルチャーラジオ、「石川九楊の”書”がわかる九つの法則」第2回「はじめに2 書とはどういう芸術か」で石川九楊さんがこんなことを言っていた。

「まさに令和の令の字を活字をモデルに、こう筆で書いた見せたように、あれだったら要するに活字を見せりゃいいんですよ。筆で書いたらああではなくて、やっぱ、最後は点にならないといかんですね。左から下に向う点に、すっきりとですね。ようするに人間の書く字のほうがマイナーになって、そしてこう印刷物で流れるようなもののほうがメジャーだと、そういうなんか錯覚現象が起こってんですよ。書道教育の中、書道を教える学校の先生方にもそういうものが起こってきて、明朝体活字をモデルに教えればいいと、こういうのになっているんです。違うんです。」

 

〈「令」は明朝体などの活字では最後が縦棒になりますが、手書きでは「マ」のように点を打つ形が一般的です。小学校の教科書でも「令」の下側は「マ」の形です。

一方、官房長官が公式発表した楷書の「令」は、活字と同じく最後が縦棒になっていました。もちろん、こう書いてもよく、書き取りのテストでもマルになりますが、普通は「マ」のように書きます。

ところが、今では、街で見かける手書きの「令和」の「令」のほとんどが、最後を縦棒にしています。公式発表の文字が美しかったため、誰もがそれを手本にしているのでしょう。下側を「マ」にしている手書きの実例はきわめて少数です。(飯間浩明「街のB級言葉図鑑」朝日新聞be on saturday/6月15日)〉

 

朝日be

 

「令」の字の最終画の「点」は、当初、私のタイポグラフィのお仲間では話題になった。公式発表の時の「令和」を書いた茂住修身という、内閣府大臣官房人事課事例係所属の辞令専門官は、自分が書道家なんだったら、なぜ九楊さんが言うように「マ」にしなかったのだろう。菅がもっていた「令」で、もうひとつ困るのは、件の書道家が書いた最終画が縦棒なだけではなく、おさえの止めを「はね」に近い左側への大きなふくらみがある(これは、われらが鳥海修氏談)。それに、石川九楊さんがこんなことをおっしゃっていると鳥海さんから聞いた。「元号たるもので、書き方が二つもあるような漢字を選ぶのはよくない」と。そうだ、そうだ。令は発表後すぐは、飯間さんのコラムのように、どこでも手書きのものは(なぜか活字体ではなく手書きの楷書が多い)最終画が縦棒に書かれていてあほらしかった。

最近「マ」の例が二つあった。一つは立憲民主党のポスタ―、彼らは意図的なのかと感心したが、NHKテレビで首相が令和の元になった万葉集の文章を臨書している字は「マ」だった。

 

IMG_5850_立憲

 

〈TIMEの表紙〉

 

最近のTIME誌の表紙。前にもこのブログで書いたが、こういうメーッセジや批評性があって機知のきいた表紙をデザインする雑誌は日本にはない。

 

4月9日号

嵐のトランプの表紙のつづき。ムラー特別検察官の報告書が出たあと。

 

time_april 0819

 

5月13日号

The World’s Most Unequal Coutry(世界で一番不公平な国)。ヨハネスブルクの裕福な住宅とスラムが、道一本でとなりあっている信じられない光景。

 

time_may 1319

 

6月24日号

The Resistance(抵抗)。見たらすぐにわかる。香港だ。

 

time_june 2419

 

7月1日号

‘MY WHOLE LIFE IS A BET’(私の全人生は賭け)。皮肉かと思ったら本文の記事でトランプが言っていること。トランプのツィッターは、ディールなんかじゃなく、すべてカードゲームのブラフ(bluff=はったり)だと思うんだけど。手の内にたいしたカードがないのにそろっていると思わせる、強気なことを言ってるだけ。口先でみんなごまかされているのかも。もともと悪徳不動産屋で人種差別主義者。(あのホルムズ海峡の有志連合、どうも怪しい。先にケンカを売ったのはトランプなのに、イランのせいにする。安倍の9条の改憲の自衛隊のことで、トランプが安倍を援護射撃しているというのは考え過ぎかな)

 

time_july 0219

 

7月8日号

えー、サグラダファミリア教会ってこんなになってるの。モダンなのにビックリ。Finished:2026*/*AT LEAST THAT’S THE GOAL(2026年完成/遅くともそれがゴール)

 

time_july 0819

 

〈シルバーパス〉

 

うちの犬たちがいなくなって、車にのることが減った。なるべく歩くようにしている。今年は、ついに車を売り払った。これで、たまにしか乗らないマイカーのために高い駐車場代を毎月払うこともなくなった。実は二ヶ月ほど乗らなかったら、バッテリーがあがって動かなくなった。調べてもらうと、動かさないからではなく、車のドアを管理するコンピュータ君の誤作動。ずっと私が乗っていると思って働いていたんだって。バカじゃないの。ディーラーの修理工場は、コンピュータとバッテリーを入れ替えるのに大金を払えという。冗談言うな。

 

毎日の仕事場への通勤にバスを使うので、あこがれのシルバーパスをゲット。月曜から金曜は自宅近所のバス停からJR中野駅まで往復する。都内のバスと都営地下鉄が乗り放題。納税しているひとは半年10, 255円、非納税者は1, 000円。近所の京王バス(自宅から歩いて5分のところに京王バスの巨大な車庫と営業所がある)で申し込み。私の後ろに並んでいたのは、バスに忘れものをした女子高生。パスをなくす人が多いので、ちゃんとケースに入れて使いなさいと受付のお婆さん(こっちもシルバー)が忠告してくれたので、「100均」で入れものを探す。このパスのデザイン(といえるかどうか)が悲しい。子供じゃあるまいし(というと子供たちに失礼だ)、なんとかならないのか。年寄りにはこんなもんでよいということか。日本はほんとにデザイン低国に落ちてしまった。パスをそのまま画像にすると危ないので、ケースにいれたままで。

 

IMG_5712_シルバーパス

 

〈最近の写真〉

 

「自分の道しかいけないし」「ぐっとくるBOSS」。自販機の上のバナー。「自分の道しかいけない」ではなく「し」がついているので、〈投げやり感〉や〈あきらめ感、諦観〉がある。「わが道のみを行く」じゃない。どうせそれしかないし、という感じなのかな。まだ自分の道だったらいいけど。自分の道だと(そのときだけでも)確信できていたらいいのだが。どうなんだろう。ほんとに自分の道だと思えるものってある? 商品につく「ぐっとくるBOSS」とは温度がちがうので、気持ちがばらつくじゃない。この広告をつくったひとは、意識的にやってるんだろうな。

 

IMG_570_自分の道

 

シールがめくれ上がってるデザイン。ストレートな表現ではなく、こういう細かい安直な情緒をくわえると、イメージが複雑になる。気をつけろ。「意識下のことが重要。無意識で見ているのだから気をつけなくては」とNHKの「あさイチ」で久米宏が言っていた。

 

IMG_5705_シール

 

近所の床屋さん(いつも行っているところではありません)の手書き看板

 

IMG_5702_本日終了

 

幼稚園の門の掲示板。園児の書でしょうか? アヴァンギャルドな仮面ライダーとウルトラマン

 

IMG_5701_幼稚園

 

クレーの絵のような排水口の蓋。ちょっと色の配置がちがう。

 

IMG_5708_蓋_1

 

IMG_5709_蓋_2

 

京都の書道教室。立志という文字にびっくり。古くない? 七年とあるのは、この教室での七年生だろうか。

 

IMG_5747_書道教室_070719

 

書道教室の近くの古いお店。取り壊しなのだろう、京町屋なので「残し」というラベルは再利用のためだね。

 

IMG_5748_残し_070719

 

京都のお地蔵さんのおしゃれな黒いタイル。ちゃっんと「まんじ」がマス目のグリッドではいっている。この上にお地蔵さんがいらっしゃる。

 

IMG_5749_お地蔵さん_070719

 

久しぶりに十貫坂教会。「非のうちどころのないもの」。終わりカギ括弧の「うちどころ」がなくて左にずれている。

 

IMG_5744_非のうちどころ_070319

 

顔に見えませんか。

 

IMG_5769_070919_近所の顔

 

かわいいバケツ

 

IMG_5771_070719_アサビのかわいいバケツ

 

The SpecialsのVote For Meという曲。こんな感じです。

 

もしも僕らがあんたに投票したら、約束してくれるかい

真っ直ぐで、きちんとして、正直に

僕らが一番のぞむことを、心のそこからかなえてくれるかい

あんたはわかってるよね、僕らはあんたを信用しちゃいない

あんたのやり方を見抜くのは簡単だよ

そんなところから始めちゃだめなんだよ

 

ロッカウェイ ビーチに岩なんかない

輝くものすべてが金(きん)じゃない

 

あんたらみんなは金と権力に酔いしれて

象牙の塔にこもって

ぼくらが賢くならないように教育し

あんたたちを守ってくれる法律をつくるし

でも、僕らは忘れないよ

あんたたちが僕らの家族をばらばらにしてしまったことを

 

ロッカウェイ ビーチに岩なんかない

輝くものすべてが金(きん)じゃない

 

だから、もし僕らがあんたに投票したら、約束してくれるかい

真っ直ぐで、きちんとして、正直に

僕らの恐れをぜんぶなくしてくれるかい

あんたに僕らが票を入れるのを、あんたはじっとすわって待っている

でも、ぼくらみんながやりたいのはあんたを拒むことさ

あんたたちの政治には、ぼくらはうんざりさ

 

ロッカウェイ ビーチに岩なんかない

輝くものすべてが金(きん)じゃない

 

(ロッカウェイ ビーチRockaway beachというのは、NYのクイーンズ地区にある。RamonesにRockaway Beachという曲がある。こっちは、ヒッチハイクでロッカウェイ ビーチへ行こう、バスなんかじゃ遅すぎるという歌)

 

今日の一曲はこれ。もちろんこの日曜日の投票に向けて。

先週の、What’s So Funny ‘Bout Peace‚ Love and Understandingも同じ気持ちなのよ。

 

Vote For Me/The Specials

 

前回のトミ・ウンゲラーの玩具の本のサイズなどの詳細を書きもらしていた。

Jouets Mécanique Métalliques/Donation Tomi Ungerer/Musée des Arts Décoratifs/1993年刊/並製/260mm×238mm/290頁