選挙、クソ、テディベア、今週の写真

今回はラジオの聞き書きをふたつ。

 

〈選挙〉

 

TBSラジオの「荻上チキ・Session22」で、慶応大学法学部教授の小林良彰が、彼の調査では日本人の政治意識は決して低くないと言う。

「(小林)今回有権者はきちんと判断してるんじゃないかと思いますね」

「(チキ)うーん、なるほど。さきほどね小林さんがね、あの、多くのひと達は政治には感心をもちつづけているが、投票先がないから投票行動という形ではとらなかった、でも、それはべつに政治には無関心になったわけじゃないという話ありましたよね。これは調査でもそうしたことが浮き彫りになってくるわけですか」

「(小林)なります、はい、だから何十年か調査をやってますけども、政治に対する関心とか知識と、いろいろ訊きます。政治に対する知識といって、あなたは知識がありますかないかなんて訊きませんよ、それはみんなありますとか。そうではなくて、アメリカの副大統領は誰ですか、とかね」

「(チキ)ほう、ほう」

「(小林)ま、色んなそういうものをたくさん訊くわけですよ。色んな問題を」

「(チキ)知識浸透度とか」

「(小林)あるいは連座制で適用は何年ですかとかね、そうするとその回答の、ま、正解率とかそういうものの割合を見てくると、けっして落ちているわけじゃないんですよね。だから、ほんとに、ま、冒頭でも申し上げましたけれど、れいわ新選組とかですね、あるいは、NHKのその政党とかっていうのがとるっていうのは、やっぱりそれははけ口ですよ。だからものすごく閉塞感をもってるわけですよ。でもそれに対して今の野党が応えてくれない、だから、じゃあ、もうそういうところに、ともかく棄権するより入れてみようというひともいれば、入れてもしょうがないから棄権しようというひともいるっていうところでですね。全然、政治にもう興味がなくなったっていうわけではないんですね」

 

荻上チキ

 

投票率は48.8パーセント。戦後二番目の低さか。最低は徳島県で38.59パーセント。選挙に行かない奴は百年経っても行かないという気がする。それは彼らの責任ではないだろう。教育がわるい。メディアも同罪。メディアは自分たちの役割のひとつに、教育的な側面があることを忘れている。テレビは視聴率がとれる選挙の番組を工夫しない。なにが低調だ。低調を招く原因をつくっているのは、メディアと与党ではないか。白々しい。小林教授の調査が本当だとしても、もっと教育を整え、メディアが役目を自覚することで、努力すれば棄権はへるのではないだろうか。

18歳と19歳の投票率が31.3パーセント。〈十代の投票率低下について「多くの高校や大学が試験期間だった」(東京新聞)〉だったのなら、教師が教室で学生に投票をうながすとか、投票するかれらのほうにしたら、何でこんな時期にという思いがあったかもしれない。まわりが盛り上がっていなければ、投票の権利と義務について気持ちがゆるくなって、目前の試験が口実になるだろう。

 

〈最初から最後まで報道の仕方に疑問が残る参院選だった。50%を切る低投票率についても、選挙戦中に出すべき情報を出さなかったメディアの責任はきわめて大きい。

公職選挙法一四八条は新聞雑誌の「報道及び論評の自由」を保証しているし、放送法四条は「政治的に公平であること」と同時に「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を求めている。自由な選挙報道ができないなんて嘘なのよ。(斎藤美奈子/東京新聞7月24日/「本音のコラム」)〉

 

斎藤さん

 

日曜日の帰り道、家の近所の投票所の看板の文字は、日が暮れて真っ暗で読めない。終了時間まではまだ間があるのに、ライトぐらいあてろよ、看板に、選管よ。小林教授には全国の選管を調査してほしい。

 

〈クソ〉

 

金曜日の久米宏がゲストで出演した、NHK「あさイチ」はよかった。テレビであれくらいのことは普通に言われないといけない。

その久米宏が、翌日土曜日の自分のラジオ番組「ラジオなんですけど」で、クソ発言。しばらく前に、「明朝体の教室」のセミナーの懇親会二次会で、若いタイプデザイナーに「クソフォント」なんて言わないでくださいと、たしなめられたことがある。こいつ、若いくせに覇気がない奴だ。こんなよぼよぼ老人のほうがが過激でどうする、「クソ」を使うのはそっちの方だろうと思った。後日、「クソ」がだめなんだったら、つぎからは「出来が悪い」に変えようと自己反省。

この土曜日の久米宏は「クソ」を連発していた。75歳。私より5歳上です。

「ぼくは、NHKはクソくらえみたいな話をして、クソなんて言葉はいけませんね。NHKは糞(ふん)食らえなんてみたいな話を(笑いながら)」(略)

「近江って、ちょっとね頭に血が上ってるんですよね、自分がNHKの代表みたいな感じになってるもんですから、近江さんは。彼女はね、公共放送ですから私たちは、とか」(略)

「昨日、全国ネットだったんです、あの「あさイチ」がね、それがぼく、いやだってんです。NHKは、ばかみたいに」(略)

「日本中に大本営発表を放送したんですよ、あの局は、戦争中に。許せないでしょ」

「近江さん聴いてらっしゃいますよ(堀井美香)」

「聴くはずないじゃない、TBSラジオごとき番組は。あのひとたちはNHKが一番だと思ってますから。なんでもかんでもNHKだと思ってますからね、民放なんかへっと思ってますよ」

「放送局はNHKしかないと思ってますから」

「それぐらい思い上がらないと、ああいう毎日の放送はできないですよ」(略)

「歳とるとなんか心の防波堤みたいなものが切れる時がありますね」

「なんか理性の防波堤が決壊したような気がして」(略)

「心の中ではクソNHKなんか見るな、と、これが本音です、ハイ」

いやー、きもちのいい「クソ」ですな(途中、適当に省略しています)。久米さんの口調の軽さもあります。

 

久米宏

 

〈NHKの近江さん〉

 

その「ラジオなんですけど」に、「あさイチ」の女子アナの近江友里絵らしきひとから、番組中にメールがきた。

「(久米)このメール読んでいいのかな」

「あ(堀井)」

「(久米)読むなとは書いてないからな)久米さま、堀井さま、TBSラジオのみなさま、昨日は朝はやくからありがとうございました。堀井さん、やさしいフォローありがとうございます。すみません、残念ながら、わたしばっちりはじめから聴いております」

「ようこそ(堀井)」

「民放のテレビもラジオも大好きなので、家では民放をたくさん見て聴いております。NHKの番組は会社にいる間、ずっと見られますからね。(久米:会社と呼んでるんですね、あの組織を)昨日の放送を見返してみましたが、大きなドーベルマンにチワワがちょっと吠えてしまったようなみたいで恥ずかしくなりました。でも、私のような小娘からのどんな質問にもまっすぐ答えてくださって、ありがとうございました。NHKで久米さんに直接お話をうかがえるなんて奇跡のような現場にいられて幸せでした」

「うん、うん(堀井)」

「万が一NHKで「ぶらひろし」という番組が誕生したら、ぜひとも私もお供させていただきたいと思います」

「あ、いいですね、はい(堀井)」

「ちなみに投票日は毎回すべての局の番組を録画してみています」

「すばらしい(堀井)」

「(久米:すごいね)久米さんは昨今の開票日の選挙特番について思う所はありますか。民放さんの番組に勝手にメールを送ったら、上司にお叱りをうけそうですが、今日は休みなので」

「そうだ(堀井)」

「業務外の個人的なメールということでつい送ってしまいました」

「うん(堀井)」

「失礼いたしました」

「はい(堀井)」

「(久米)送って下さった方は………」

「ありがとう!(堀井)」

 

〈テディベア〉

 

THE ULTIMATE TEDDY BEAR BOOK(究極のテディ・ベアの本)/1991年/上製/頁サイズ=280ミリ×230ミリ

 

IMG_5905_テディベア表紙

 

これも、ウンゲラーさんの玩具の本といっしょに、仕事場の片付けで出てきた。

 

まず「イントロダクション」から。

〈ほぼ90年前の熱狂が、いまでも始まりと同じように、今日まで人気がつづいているなんて、だれが想像出来たでしょう。野生の猛々しい動物が、子供時代の強い気持ちをもたらす象徴や、二人の人間の愛のために、こんなに柔らかくてかわいい生きものを創り出すもとになるなんて不思議です。アメリカの大統領セオドア・ルーズベルトのマスコットとして生まれたテディベアは、いまでは、世界中で子どもたちの最初の遊び相手でありお友達として受け入れらています。〉

 

テディベア_p6

 

「テディの誕生 The Teddy Is Born」に、ネーミングの最初のいきさつ。

〈合衆国の29代大統領セオドア、またはテディ・ルーズベルトからテディ・ベアの名前をいただいたことを感謝しよう。1902年の11月、この有名な家庭人は、政治の仕事から離れて、ミシシッピの熊狩りのために4日間の休暇をとった。大統領は運が悪くて、唯一のチャンスは木につながれた熊を撃つだけだった。彼は撃つのを拒否。この出来事をワシントン・ポストの政治漫画家のクリフォード・K・ベリーマンが絵にした。ベリーマンによってこの小さな熊は大統領のシンボルになり、その後は多くのアーティスによって漫画が描かれた。漫画の熊は、その一年以内にこどもの玩具となった。テディ・ベアである。〉

 

〈同じ頃、ドイツで家業をひきいるマルガレーテ・シュタイフが、手足につなぎ目のあるぬいぐるみの熊をつくっていた。小児まひにかかって、子どものころから車椅子にしばりつけられた彼女は、熟練の裁縫師になり、子供服をつくっていた。1880年、彼女は柔らかい玩具とその他のものを作る通販会社を立ち上げる。最初は像の形の針刺しで、動物はシュタイフ社の最初のトレードマークになった。1903年の3月にライプチッヒ・フェアで、ニューヨークのデパートのジョージ・ボルグフェルト社の玩具のバイヤーのハーマン・バーグが3000個のテディベアを買うまで、はじめはうまくいかなかった。1905年、シュタイフ社の熊は、有名な「耳にボタン」のトレードマークをつけることで法律に守られた。熊はとても有名になり1903年から1908年にかけて三度も工場の拡大をしなければならなかった。この時期はBarenjahre(熊の年)として知られている。テディベアの生産高は年ごとに12000個から約975000個に上った。この驚異的な数字はこのあと二度となかったほどである。このテディベアの人気はセイモア・イートンの『ルーズベルトの熊』によって押し上げられた。彼がつくった韻を踏むお話は、もともとアメリカの新聞の日曜版の付録に1905年から連載され、1904年から1905年にかけて四冊の本が出版された。お話は『ルーズベルトの熊、彼らの旅と冒険』から始まり、それからマグやスプーン、そして本など、多くのノベルティが生み出された。およそ1907年までにはテディの熊は世界中にテディベアとして知られ、家庭でのゆるぎない地位を獲得した。〉

 

テディベア_p12-13

 

テディベア_耳

 

時代ごとのパーツの特徴がのっている

 

テディベア_p10-11

 

 

歴代のテディベアはそれぞれ愛称がある。

 

テディベア_愛称1

 

テディベア_愛称2

 

テディベア_愛称3

 

テディベア_愛称4

 

テディベア_愛称5

 

プーさんやパディントンもいる

 

テディベア_プーさん

 

テディベア_p86-87

 

〈息子の学年の今学期の学習テーマは「第二次世界大戦」であり、その一環として子どもたち全員が当時の疎開児童の恰好をして学校に行くという日があった。男子ならシャツに毛糸のベストに半ズボン、頭部はハンチング帽。女子なら髪をおさげにしてワンピースにカーディガンに白いソックス、手にはトランクや当時の疎開児童が持っていたような紙箱を紐で結んで下げられるようにしたものを持って登校するのである。トランクや箱の中には戦時中に疎開していた子どもたちの持ち物(テディベア、着替え、パジャマ、本など)を入れておかねばならなかった。(『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』ブレイディみかこ/みすず書房/2017年)〉

イギリスの疎開児童はテディベアを持っていく。

 

テディベア_p35

 

京都のUmweltで見つけたシュタイフのテリア

 

IMG_5903_テリア_080219

 

〈今週の写真〉

 

こんなところでひとりお昼を食べる学生

 

IMG_5863_0708_早稲田大学

 

台風が来るかもしれない夏の雲。東北新幹線の車窓

 

IMG_5885_072719_いい雲

 

パンツのところ、前に見えないんだけど。体をねじってお尻のほうに見える。

 

IMG_5881_072619_パンツ

 

性懲りもないタレントの顔だけの広告だが、オロナミンCだけに写真のタッチがノスタルジックなのが一工夫。オロナインの浪花千恵子、オロナミンの大村崑、ボンカレーの松山容子を思い出させる。クラシックな顔の女の子を見つけてくればおもしろいが、ポスターだけじゃなくCMもあるからこの子。上の「元気ハツラツ」をやめて「シュポン!」だけで大きくすれば笑える。若い女の子との組み合わせのコントラストになる。色っぽくなる。右下の二つのボトルはなしで、シンプルにすればいい。しかし「元気ハツラツ」は、大村崑以来のキャッチフレーズだからはずせないのね。

CMではこの清原果那が「ぱぱぱぱー」と、オロナミンの曲を歌っている。こっちは絵づらがシンプル、ノスタルジーはない。最後に「元気ハツラツ」って叫ぶ。それならポスターの「シュポン!」はどうでもいい。女の子だけでなく別のバージョンもあり、オロナミンCを飲むときはみんな横をむく。瓶を見せるため。大変だ。

 

IMG_5882_072619_オロナミン

 

東京駅のロッカーの場所とアキ状態を教えてくれるディスプレイ。こんなのがある。大きな駅ならどこでもあるのかな。

 

IMG_5884_072719_ロッカー

 

仲のいい、運搬用の一輪車

 

IMG_5894_一輪車_072819

 

雨に濡れてにじんだけれどいい感じ

 

IMG_5891_スイカ割り_072819

 

行間がなくつまっている。郵便の横にすこし離してPOSTじゃない。郵便と、郵便マークのテと、POSTで、それぞれ意味と役割がちがうのだろうか。POSTは外国人用かな。日本人なら色と形でポストとわかるから、逓信省のマークだけでもよいかもしれない。「郵便」はとる。昔のポストにもこの三つが入っている。あくまで、郵便ははずせないのかもしれない。

 

IMG_5895_ポスト_072819

 

IMG_4879_古いポスト

 

先週の前顔につづき、横からでも顔に見える。

 

IMG_5900_横顔_073019

 

いつも思うんだけど、この人どうしてハットをかぶっているんだろう。道のラインいるかな。バス停の横にあるんです。

 

IMG_5901_帽子_073019

 

今日の一曲はこれ

 

Things Have Changed/Bob Dylan