〈選挙のポスタ―〉
いつものことだけど、選挙のポスターが情けない。いったいこの寒々しいポスターは何なのか。若い女の子とおじさんのタレントがこっち見ている。みっともないから、少しカットしておく。選挙のポスターの役目とは何か。そんなことは一切考えない選挙管理委員会の無能。やる気がない。候補者のポスターの掲示板の上に、投票日と期日前投票のこと、投票行動を積極的に促すキャッチを大きくいれたらいいのに。派手にやっても悪いことはない。選挙を盛り上げずに地味にやることが、嘘と偏見にまみれた政権与党の助けになる。国民みんながこぞって投票に行くことが、選挙管理委員会の最も大切な使命ではないのか。
〈トミ・ウンゲラーの玩具〉
仕事場の本を片付けていたら、今年の2月9日に87歳で亡くなった、トミ・ウンゲラーが生れ故郷のストラスブール市に寄贈した6000点のブリキの玩具(Jouets Mécanique Métalliquesとあるので動く仕掛けのあるメタル玩具)のカタログがでてきた。「芸術新潮」2009年8月号の「特集 トミ・ウンゲラーのおかしな世界」の取材をした編集者M君からおみやげにいただいた本だ。誌面でも一部紹介されている。2007年にストラスブール市にトミ・ウンゲラー美術館ができるまえから、この玩具コレクションは装飾美術館(Musée des Arts Décoratifs)で展示されている。
The Tomi Ungerer Museum – International illustration center(サイトからの写真)
Musée des Arts Décoratifs Strasbourg(サイトからの写真)
玩具について〈ウンゲラーがおもちゃのどこに惹かれるのかといえば、メカニズムだという。仕組みを観察し、理解することでインスピレーションが湧く。そのせいか、蒐集品の多くを、ゼンマイじかけや手作業で彩色されたブリキのおもちゃが占める。ぎくしゃくとしたその動き、ひとつひとつ異なる表情、そして時とともに古びてゆく姿が生き物のようで、想像力をかきたてられるという。(「芸術新潮」2009年8月号)〉
(同号から)ウンゲラーが故郷のアルザスについて語っている。〈わたしはアルザス人です。(略)1931年11月28日にフランスのストラスブールにうまれたわたしは、しかし、自分のことを「フランス人」だとは思っていません。なによりもまず「アルザス人」であり、そして「ヨーロッパ人」、それがトミ・ウンゲラーなのです。
フランスとドイツの国境地帯に位置するせいで、アルザスの人間は長いあいだとても苦しんできました。アルザスはフランスのものだとフランス人はいうけれど、政治的帰属はともかく、この地方の文化基盤はどちらかというばドイツ的ですから、ドイツ人もまたアルザスの所有を主張するわけです。ふたつの国のあいだで戦争が起こるたび、いとも簡単に国籍を変えられてきたのがわたしたちアルザス人でした。〉
「芸術新潮」のこの号は、77頁であるが見事な構成でウンゲラーについて日本語で知ることのできる貴重な読物になっている。
今日の一曲
What’s So Funny ‘Bout Peace‚ Love and Understanding/Nick Lowe
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